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ドジャース大谷翔平投手(29)が、13日(日本時間14日)に発売されたフランスの大手スポーツ雑誌「レキップ」の表紙を飾った。サッカーを中心に話題のアスリートを取り上げる同誌で野球選手の抜てきは超異例。国内全域で販売され、SNSでも大きな反響があった。昨年、プロスポーツ史上最高額7億ドル(当時約1015億円)の歴史的契約でド軍に入団したことをきっかけに特集を組むことが決定。二刀流・大谷の影響力が、欧州にも広がり始めている。 即決で「大谷特集」が決まった。取材・構成を担当したアントワン・バーロン記者(25)は昨年12月、大谷の歴史的契約の報道を目にして、心に決めた。「スーパースターなのに、その人の物語を知らないなんてことはあまりない。読者にとっても新しい発見になるし、フランスでは特異なこと。編集者に伝えたら、『そうだな、オオタニに関して何かやってみよう』と、快諾してくれた」。記者歴5年、若者の熱意とチャレンジ精神が老舗スポーツ雑誌の編集部を動かした。 野球は知らない。見たこともない。バーロン記者は数年前からオンラインの英文記事などで大谷の存在を知り、探究心が湧いた。「彼は東京や大都市の出身ではなく、田舎で育ったのも興味深かった」。日本人のフォトジャーナリスト志田彩香さんに大谷の故郷・岩手県奥州市と周辺の取材を依頼。メジャー挑戦から取材を続ける日刊スポーツの担当記者にも話を聞いた。12月中旬に企画を具体化してから約3カ月、全11ページの特集記事が完成。編集者に執筆した記事を送ると、予想外の答えが返ってきた。 「なんてファンタスティックな男なんだ。表紙にしよう」 3月20日、韓国での開幕戦が行われる1週間ほど前には、超異例の表紙起用が決まった。同記者によると過去に日本人のスポーツ選手がレキップの表紙を飾ったのは女子テニスの大坂なおみだけ。世界ランク1位にもなった元女王と同等の扱いだった。「水原一平氏のスキャンダルも少し加筆したが、編集者はそれ以前から表紙と決めていた。オオタニがスーパースターたるゆえんの方が断然、興味深いとのことだった」。記事を読むまで編集者は大谷のことをほとんど知らず、どれだけのスペースを割くのかも未定だったという。 大抜てきとなった大谷の表紙はX(旧ツイッター)などSNS上で話題になり、日本メディアの記事でも取り上げられた。「人々はスポーツ界で最高契約を交わした選手が、どんな人だろうと知りたがっているようだった。反響はとても良かった」。数日後、感謝のメッセージも受け取った。「フランスで多くのサッカー選手を担当する代理人から『ベースボール最高の選手を知ることができた。ありがとう』って。国内の野球関係者からも、たくさん連絡をもらった」。社を挙げた大特集の決断は、驚くほど好影響をもたらした。 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のランキングでフランスは21位。マイナースポーツで、発展途上であることは間違いない。だが一昨年、ドイツで行われたWBC予選で敗退した代表チームを率いたのは現在レンジャーズを指揮するブルース・ボウチー監督(69)。ワールドシリーズ制覇4度を誇る名将だった。 認知度でいえば、同国での野球はまだ芽が出たばかりかもしれない。ただ、バーロン記者は「フランスで野球に関心がある人なら、ヤンキースのアーロン・ジャッジ(ア・リーグのシーズン本塁打記録保持者)は知らないけど、ショウヘイ・オオタニは知っている」と言った。二刀流・大谷の影響力で、欧州野球の裾野は、少しずつだが着実に広がっている。【斎藤庸裕】 〇…大谷がドジャース移籍1年目のキャンプを迎えてから約10日後の2月中旬、スマートフォンに1通のメッセージが入った。「フランス雑誌レキップの記者で、オオタニの特集記事を担当しています。オオタニに関しての取材で、あなたへのインタビューは可能でしょうか」。突然の連絡に戸惑いながらも引き受けた。だが、なぜフランスから…。 「フランス人は、大谷を知っている?」 素朴な疑問だった。 バーロン記者から、泣き笑いの絵文字とともに返信が来た。 「大勢が知っているわけではないけど、日本の文化や、米国スポーツに関心のある人なら知っているよ」 SNSの流行により、今や世界中の情報が得られるようになった。今季、開幕戦が開催された韓国では、SNS全盛の時代に生きる若年層の観客が目立った。北米、南米、アジアだけでなく、野球がマイナー競技の欧州からも注目されつつある。この時代だからこそ、大谷は世界的な野球伝道師になり得ると感じた。 ◆フランスと野球 人気は高くはないが国内リーグがあり、1924年には国内に最初のチームが設立されたと言われる。日本人とは縁があり、阪神を85年に日本一に導いた吉田義男氏が89~95年までフランス代表監督を務めた。94年には通算2271安打の山内一弘氏も臨時打撃コーチとして指導。吉田氏は発展途上だった欧州での野球の普及に尽力した貢献が評価され、11年にフランス野球・ソフトボール連盟の名誉会員に日本人で初めて選出された。メジャーで03年にセーブ王を獲得し、84試合連続セーブの記録を持つエリック・ガニエ氏も代表監督を務めた。主要国際大会のWBC、五輪、プレミア12の本大会出場経験はない。 ◆レキップ(L,Equipe) フランスで1946年に創刊された老舗スポーツ紙。主に、サッカー、ラグビー、モータースポーツ、自転車競技の報道で知られている。発行部数は約20万部で過去最高は98年フランスW杯でフランスが優勝した翌日の7月13日付で約160万部が売れた。X(旧ツイッター)のフォロワーは約670万人。今回の大谷特集は同紙が発刊する週刊誌に掲載。東京五輪が行われた64年には日刊スポーツと記事提携を結んだ。
打球速度10傑は独占状態 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手は移籍1年目から歴史的なシーズンを送っている。メジャー史上初の50本塁打&50盗塁の「50-50」を達成。27日(日本時間28日)の敵地ロッキーズ戦では57盗塁目を成功させ、2001年イチローの日本人最多56盗塁を上回った。54号も放ち、前人未到の数字は「54-57」まで更新。他にも、様々な球団記録を1年目にして塗り替えている。 11-4で大勝した27日の敵地ロッキーズ戦。大谷は54号3ランを含む5打数4安打4打点1盗塁と大暴れだった。この日2得点もマークし、今季の数字は133に。すでに2001年のイチローが持っていた日本人のシーズン最多得点記録(127)を更新していたが、ドジャース公式誌「ドジャー・インサイダー」の公式Xによると、1958年にロサンゼルスに移転して以降の球団記録(131)も塗り替えたという。 同アカウントは「ショウヘイ・オオタニの本塁打は彼に132得点目を与えた。これはロサンゼルス・ドジャースの新記録だ。フレディ・フリーマンが1年間記録を保持していた。彼は2023年に131得点をマークした」と投稿。米ファンからは「オオタニは1年目から全員の記録を塗り替えようとしている」「彼はドジャースの全記録を破りそうだ」と驚きの声が寄せられた。 19日(同20日)の敵地マーリンズ戦では49号、50号、51号と自身初の3打席連発。ショーン・グリーンが2001年にマークした49本の球団シーズン最多本塁打記録を一気に抜き去った。さらに24日(同25日)のパドレス戦では1930年にベーブ・ハーマンが残した94長打を超え、94年ぶりに球団記録を更新。残り2試合で99まで数字を伸ばし、2001年以来達成者がいない100長打にもあと「1」とした。 さらにMLB公式のサラ・ラングス記者によると、2015年にスタットキャストによる打球計測が始まって以降、ドジャースの打球速度トップ10は大谷が独占。1位は4月27日(同28日)に放った119.2マイル(約191.8キロ)の単打で、10位の116.3マイル(約187.2キロ)の33号3ランま 昨年12月に10年総額7億ドル(約1014億円=発表当時)の大型契約を結んだ大谷。移籍1年目から、メジャー屈指の名門球団の歴史に名前を刻んでいる。