驚異の国民宿舎 35年間利用率1位、人気のワケ 抜群眺めと温泉で、なぜ安い?【知ってもっと】【グッド!モーニング】

■国民宿舎「鵜の岬」とは?

平日にもかかわらず宿泊客でにぎわうこの場所は、茨城県日立市にある国民宿舎「鵜(う)の岬」です。

東京駅から車でおよそ2時間。毎日、高速バスが運行しています。

埼玉県在住 70代「ここはもう20回以上、20年以上前から来ている」

埼玉県在住 76歳「2カ月に1回来るかな。別荘代わりに来ればちょうどいい」

国民宿舎とは、国や自治体が運営する、誰もが利用できる公共の宿ですが、鵜の岬は…。

静岡県在住 70代「鵜の岬は日本一予約が取れない国民宿舎って有名だから」

35年連続で宿泊利用率が全国1位。去年の稼働率は、年間99.7%と驚異の数字を誇ります。

先月行われた、年末年始の宿泊者を決める抽選会には、応募者が殺到し、倍率45倍超えとなりました。一体、どんな施設なのでしょうか?

58ある客室はすべてオーシャンビュー。さらに部屋からだけでなく、最上階にある温泉からも圧巻の光景を楽しむことができます。

坂下恭也さん(83)「やっぱりこの風景だね。どこからでも良い物が撮れる」

写真撮影が趣味だという埼玉県からきた坂下さんです。今回、カメラに収めたのは、見事な朝焼けです。

坂下さん「5年ぐらい(予約が)取れなかったらしい。偶然(予約が)取れたということで良かった」

■物価や人件費が高騰…なぜ安さを維持できる?

リゾートホテル顔負けの「鵜の岬」ですが、特に人気の理由は週末でも1泊2食付きで1人1万1480円からという宿泊料金の安さです。

夕食は、茨城県の特産品「ローズ・ポーク」や「めひかり」など地元の食材をふんだんに使ったフルコースが堪能できます。

物価や人件費が高騰するなか、なぜ安さを維持できるのでしょうか?

国民宿舎「鵜の岬」 宇佐美泰重支配人「とにかく経費削減の部分では、なるべく自分たちでできることをやっていく思い」

10年以上支配人を務めている宇佐美さんです。鵜の岬にも高騰の波が押し寄せていて、コメの仕入れ価格は去年と比べて1.4倍になったといいます。

ところが、公営施設である鵜の岬は宿泊費を県が条例で定めているため、簡単に値上げをすることができません。細かい節約を積み重ね、安さを維持しています。

宇佐美支配人「地元の『ひたち舞』というコメを使っていて。本当に交渉しながら、少しでも安くということで、直接取引業者さんのほうに出向いたりとか、海産物に関しても、なるだけ大量に取ったりとか、少しでも安くなれるような工夫はしている」

各階に設置されている生け花は、これまで業者に依頼していましたが、華道の経験のあるスタッフが担当することに。館内の節電も徹底し、経費削減に努めています。

国民宿舎協会によると、1982年度には全国345カ所あった公営の国民宿舎。しかし、施設の老朽化や赤字などから閉業が相次ぎ、現在は46カ所にまで減少しています。

高い稼働率を維持する鵜の岬ですが、課題は若年層の利用客が少ないこと。そのため、若手スタッフがSNS戦略を展開し、来月からは、試験的にインターネットの予約を開始するなど、新たな取り組みも始めています。

宇佐美支配人「お客様にとにかく来てよかったって言われる。この一言が私たちにとって、やっぱり元気が出る源になってますので、引き続き頑張っていきたい」